バラのしくみを解説 ~葉っぱ・茎・トゲ・花・実(ローズヒップ)のはたらき~

「こびとの農園」は、“農作物の花”をモチーフにした、小さなつまみ細工を制作しています。
野菜や果物の花々は、ふだん目にする機会は少ないけれど、実はとても繊細で驚くほど美しい姿をしています。
華やかに咲くバラは、鑑賞以外にも農作物として多岐に渡る用途があるのをご存知でしょうか?
見慣れたもののなかには、まだ知らない“自然のひみつ”がたくさん隠れています。この記事では、そんなバラのからだのしくみや、それぞれの部分がどんなはたらきをしているのかを、ご紹介していきます。
バラについて ~日本にも多くの原種がいることを知っていますか?~

バラ(薔薇)は、バラ科(Rosaceae)バラ属(Rosa)に属する植物の総称であり、主に低木またはつる性の木本植物です。多くの種は茎や葉に棘(とげ)を持つことが特徴で、観賞用・香料・薬用など幅広い用途で古くから人類に親しまれてきました。
バラの原種(ワイルドローズ)は、北半球の温帯地域に広く分布しており、アジア・ヨーロッパ・中近東・北米などに約150〜200種が存在するとされ、特に中国南西部(雲南省周辺)からヒマラヤ地域は多様な原種が分布する重要な地域のひとつとされ、現在の園芸品種の成立にも大きく関わっています。
日本にも複数の原種が自生しており、代表的なものとして以下が知られています。
- ハマナス(Rosa rugosa)
- ノイバラ(Rosa mulitiflora)
- テリハノイバラ(Rosa wichuraiana)
- ツクシイバラ (Rosa multiflora)
- ヤマイバラ(Rosa sanbicina)
- ヤブイバラ(Rosa onoei )
- モリイバラ(Rosa jasminoides)
- フジイバラ(Rosa fujisanensis)
- アズマイバラ(Rosa onoei)
- ミヤコイバラ(Rosa paniculigera)
- イザヨイバラ(Rosa roxburghii)
- オオタカネバラ(Rosa acicularis)
- サンショウバラ(Rosa hirtula)
- タカネイバラ(Rosa nipponensis)
- サクライバラ(Rosa uchiyamana)
日本では古く、バラは「茨(うばら/うまら)」と呼ばれており、常陸国には茨城(うばらき)という地名があり、茨城県の県名の由来ともなっている。日本一のバラの生産量を誇るのは「静岡県静岡市清水区」、日本一のバラの苗木生産量を誇るのは「岐阜県揖斐郡大野町」です。
青いバラ ~「不可能」から「夢かなう」へ~

一般的なバラは、赤やピンク、黄色などの色素(アントシアニンやカロテノイド)によって発色するが、青色の発現に関与する色素「デルフィニジン」を自然には生成しません。このため、従来の交配によって青い花色を持つバラを作り出すことは不可能とされてきました。こうした背景から、「青いバラ」は長らく不可能の象徴とされ、花言葉も「不可能」「存在しないもの」といった意味を持ちます。
この状況を大きく変えたのが、日本の飲料メーカーであるサントリーと、オーストラリアのバイオ企業フロリジーンによる共同研究です。両者は、パンジーなどが持つデルフィニジン合成に関わる遺伝子をバラに導入することで、青色の色素を生成するバラの開発に成功しました。こうして誕生したのが、2004年に発表された青いバラ「アプローズ」です。これにより、青いバラの花言葉も「夢かなう」「奇跡」「神の祝福」といった、希望を象徴する意味へと変化しました。
一方で、自然界においてデルフィニジンを持つ原種のバラは確認されておらず、従来の園芸品種における「青いバラ」は、赤系色素を弱めることで紫や藤色といった青みを帯びた色合いを表現したものです。こうした品種としては、岐阜県の河本バラ園が2002年に発表した「ブルーヘブン」や、小林森治による「青龍」「ターンブルー」、木村卓功による「ブルー・グラビティ」、などが青に近い色合いを持つバラとして知られています。
バラの葉っぱ・茎・トゲについて ~どんな薔薇にも棘がある~

バラの葉は「奇数羽状複葉」と呼ばれる形をしており、1本の葉柄の先に複数の小葉が並びます。一般的には5枚または7枚の小葉から構成されますが、品種や生育条件により3枚や9枚の場合もあります。
小葉は楕円形で、縁には鋸歯(ギザギザ)があり、縁には細かい鋸歯(ギザギザ)があり、表面にはやや光沢を持つものが多いです。
バラの茎は木質化する「木本性」であり、成長に伴って硬くなり枝分かれしていきます。樹形は品種によって異なり、直立する木立性のほか、長く伸びる「つる性」のものがあります。
バラのトゲは一般的に「棘」と呼ばれるが、植物学的には正確には「刺」=刺状突起体(prickle)」に分類されます。これは茎が変化したもの(thorn)や葉が変化したもの(spine)ではなく、表皮や樹皮の一部が突起状に発達した構造であり、維管束を持たないので、比較的簡単に折れたり剥がれたりする性質を持ちます。
”Every rose has its thorn”(どんなバラにもトゲがある)は、「どんなに素晴らしいものや美しい人にも、必ず欠点、問題、または困難が伴う」という慣用句は知られていますが、モッコウバラなどほとんどトゲのない品種もあります。
バラの花 ~食・香り・文化に根付く~

本来、バラの花は「五弁花」と呼ばれる構造を持ち、花びらは5枚が基本形です。しかし、現在一般的に見られるバラの多くは、花びらが何十枚にも重なる「八重咲き」の形をしています。これは、もともとおしべであった器官が花びらへと変化する「花弁化(ペタロイド化)」によって生じたものです。
バラの花の中心には、多数の雄しべが密集して配置されています。この構造はバラ科植物に共通する特徴のひとつであり、効率的な繁殖を実現するための重要な仕組みです。
バラの花弁は、その美しさだけでなく、古くから食用や香料としても広く利用されてきました。花弁はジャムや砂糖漬けに加工されるほか、乾燥させてハーブティーとして飲用され、やわらかく華やかな香りを楽しむことができます。乾燥した花弁はスパイスとしても利用され、インドではガラムマサラの材料の一つとして調合されるほか、ペルシャ料理においては料理や菓子の風味付けとして用いられるなど、地域ごとに多様な食文化の中で活用されています。
香料としての利用も非常に重要であり、特にダマスクローズ(Damask rose)の花弁は、その芳香の豊かさから高く評価されています。香水の原料となる精油「ローズオイル(Rose oil)」と、副産物として芳香を含んだ液体「ローズウォーター(rose water)」が得られます。
花言葉

バラ(薔薇)全体の花言葉は、「美」「愛情」です。
しかし、バラの花言葉は、色によって大きく意味が異なります。
- 白色:純潔・尊敬・清らかな愛
- 青色:不可能・夢かなう・奇跡・神の祝福
- 紫色:誇り・気品・尊敬
- 赤色:情熱・愛情・あなたを愛しています
- ピンク色:感謝・上品・しとやかさ
- 黄色:友情・信頼・献身、(場合によっては嫉妬)
- オレンジ色:絆・信頼・無邪気
- 緑色:穏やか・癒し・希望
また、バラは本数によっても意味が変わります。
- 1本:ひと目ぼれ・あなたしかいない
- 3本:愛しています・告白
- 5本:あなたに出会えてよかった
- 7本:密かな愛
- 10本:あなたは完璧
- 11本:最愛
- 12本:ダズンローズ(私と付き合ってください) (私のすべてを捧げます)
- 24本:一日中想っています
- 50本:永遠
- 99本:永遠の愛・ずっと好きでした
- 108本:結婚してください
- 365本:あなたが毎日恋しい
バラの実 ~ハーブティや漢方に~

ローズヒップは、バラ属(Rosa)の花が受粉したあとにできる、赤から橙色をした実状の部分です。春から初夏に受粉した花は、その後ゆっくり肥大し、夏の終わりから秋にかけて熟します。
真正の果実そのものではなく、花托・花筒に由来する部分がふくらんだ「偽果(accessory fruit / pseudo-fruit)」です。ローズヒップの内部には多数の小さな硬い粒が入っているが、これらが本来の果実である痩果であり、その中に種子が含まれます。
中心部に白っぽい硬い粒と細かい毛が密集しているが、この毛は食用にする際には注意が必要な部分です。ローズヒップの内側の毛は刺激性があり、古くはかゆみ粉(Itching powder)の材料として使われてきました。
イヌバラやハマナスなどが代表的で、果肉部分を乾燥させてローズヒップティー(ハーブティー)やジャム、シロップなどに加工されます。爽やかな酸味とほのかな甘みを持ち、古くから保存食や飲料として親しまれてきた。また、漢方や民間薬ではノイバラやテリハノイバラの果実を営実(エイジツ)として用いられ、便秘改善の効果があります。
栄養面では、ローズヒップは特にビタミンCを豊富に含むことで知られており、その含有量は果実類の中でも高い水準にあるとされています。
最後に

バラには、想像もつかないほど、自然のしくみと命の工夫がぎゅっと詰まっています。
バラの葉っぱ・茎・トゲ・花・実(ローズヒップ)、それぞれの特徴や役割を知ることで、ふだん何気なく接しているバラにも、こんなにも繊細で豊かな世界が広がっていることに気づいていただけたのではないでしょうか。そんな自然の営みは、私たちのすぐそばにあって、ほんの少し立ち止まって見つめるだけで、たくさんの発見や感動を与えてくれます。
「こびとの農園」では、そんなバラ魅力を、つまみ細工という形でお届けしています。
農や食、そして大垣市へのつながりを感じていただけたらうれしいです。
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