リンゴ(セイヨウリンゴ)のしくみを解説~葉っぱ・花・実のはたらき~

リンゴ(セイヨウリンゴ)のしくみを解説~葉っぱ・花・実のはたらき~

「こびとの農園」では、農作物の花をモチーフに、つまみ細工の作品を制作しています。

ふだん食べている野菜や果物も、花に目を向けてみると、いつもとは違う表情を見せてくれます。

赤くて丸い実が思い浮かぶリンゴも、春には、ほんのりとピンク色を帯びた白い花を咲かせるのをご存知でしょうか。

その小さな花は、どのようにして、シャキシャキとした甘いリンゴになるのでしょう。そして、実の中に見える「蜜」には、どんなひみつがあるのでしょうか。

この記事では、リンゴの葉っぱ・幹枝・花・実・種をたどりながら、食卓につながる自然のしくみをご紹介します。

目次

リンゴ(セイヨウリンゴ)について ~青森県で約6割が生産~

リンゴ(セイヨウリンゴ)について ~青森県で約6割が生産~

リンゴ(学名:Malus domestica)は、バラ科リンゴ属の落葉樹です。秋から冬に葉を落とし、春になると再び芽吹きます。

中央アジアが原産とされ、和名ではセイヨウリンゴと呼ばれます。日本では古くから中国原産のワリンゴ(Malus asiatica)が栽培されており、明治時代にセイヨウリンゴが導入されました。涼しい気候を生かして、青森県や長野県などに産地として育っていき、リンゴといえばセイヨウリンゴのことを指すようになります。

日本のリンゴの約6割が青森県で生産されており、品種別では「ふじ」が約5割を占め、「王林」「つがる」「ジョナゴールド」が各1割ずつ栽培されています。

岐阜県でも、高山市などの飛騨地域で栽培されています。高冷地の気候や昼夜の寒暖差を生かした「飛騨りんご」は、岐阜の実りを楽しめる農作物の1つです。

お店でリンゴを選ぶとき、品種名と一緒に産地にも目を向けてみてください。果実から、その土地の気候や、育てる人の仕事にも関心が広がります。

ワリンゴ(ジリンゴ)について

ワリンゴ(ジリンゴ)は中国から古くに伝わり、江戸時代には日本でも栽培されていたリンゴです。小さな果実をつけるリンゴを広くまとめた「クラブリンゴ」に含められます。

「高坂りんご」や「加賀藩在来」など、地域と結びついた系統があり、お盆のお供えとしても親しまれてきました。

ワリンゴは小さな実をつけるのが特徴で、セイヨウリンゴは大きな実をつけます。ワリンゴは甘味や酸味に加えて渋みもある種が多くあり、セイヨウリンゴが広まった背景でもあります。

リンゴの葉っぱについて ~蜜の元になる「ソルビトール」を供給~

リンゴ(セイヨウリンゴ)のしくみを解説~葉っぱ・花・実のはたらき~ リンゴの葉っぱについて ~蜜の元になる「ソルビトール」を供給~

リンゴの葉は、卵形から楕円形をしていて、縁には細かなギザギザこ「鋸歯」があります。

葉でつくられた養分の一部は、「ソルビトール」という物質の形で果実へ運ばれ、そこで果糖などに変えられます。果実が大きく育ち、甘みを蓄える過程には、葉からの届けものが関わっています

収穫の季節まで、一枚一枚の葉が実りを支えていると思うと、緑の葉にも違った魅力が感じられます。

リンゴの花について ~最初に咲く中心花、その周りの側花~

リンゴ(セイヨウリンゴ)のしくみを解説~葉っぱ・花・実のはたらき~ リンゴの花について ~最初に咲く中心花、その周りの側花~

春に咲くリンゴの花は、基本的に5枚の花びらをもち、花びらの内側に16~20本ほどのおしべがあり、その中央にめしべがあるという、バラ科の特徴を有した花です。

つぼみのころにはピンク色が目立ち、開くにつれて白い花びらが広がるのが特徴です。同じ枝の中でも、つぼみと開いた花で色の違いを楽しめます。

リンゴの花は、1つの芽から5~6個ほどがまとまって咲きます。この花のまとまりを「花叢(花そう)」と呼びます。その中心で先に開く花を「中心花」、まわりに咲く花を「側花」です。中心花が先に開き、そのあとを追うように側花が咲くため、同じ花そうの中に、開いた花とまだ丸いつぼみが並ぶ姿が見られます。中心花は成長が早く、充実した果実になりやすいため、優先して残します。

多くの品種は、自分自身や同じ品種の花粉では実がつきにくい性質「自家不和合性」をもちます。実りを安定させるには、開花時期が重なり、受粉の相性がよい別の品種の花粉が必要になります。

リンゴの花言葉は、「優先」「選ばれた恋」です。

リンゴの実について ~シャキシャキの果肉は、花のどこからできる?~

リンゴ(セイヨウリンゴ)のしくみを解説~葉っぱ・花・実のはたらき~ リンゴの実について ~シャキシャキの果肉は、花のどこからできる?~

リンゴの果肉の大部分は、花のつけ根で子房を包んでいた「花托」などの組織が大きく育ったものです。一方、めしべの「子房」に由来する部分は、おもに種を包む芯のあたりにあります。こうした、子房以外の部分も大きく発達する果実を、植物学では「偽果」と呼びます。

食べる前には、リンゴの軸とは反対側のくぼみも見てみてください。そこに見える茶色い小さな部分には、がくやおしべなど、花の名残があります。

そのため、芯のまわりにある果肉の細胞どうしの隙間にソルビトールや水分がたまることができ、透き通った飴色の「蜜」が入ります。

一方、さわやかな酸っぱさには、主に「リンゴ酸」が関わっています。甘味と酸味の釣り合いによって、甘さが前に出るもの、酸味がはっきり感じられるものなど、品種ごとの味わいが生まれます。

切ったリンゴをしばらく置くと、断面が茶色くなることがあります。これは、果肉に含まれるポリフェノール類や酵素などが空気に触れて酸化し、褐色の物質へ変わる「褐変」のためです。見た目は変わりますが、食べて体に害はありません。

最後に

リンゴ(セイヨウリンゴ)のしくみを解説~葉っぱ・花・実のはたらき~ 最後に

リンゴには、想像もつかないほど、自然のしくみと命の工夫がぎゅっと詰まっています。

リンゴの葉っぱ・花・実、それぞれの特徴や役割を知ることで、ふだん何気なく食べている果物にも、こんなにも繊細で豊かな世界が広がっていることに気づいていただけたのではないでしょうか。そんな自然の営みは、私たちのすぐそばにあって、ほんの少し立ち止まって見つめるだけで、たくさんの発見や感動を与えてくれます。

「こびとの農園」では、そんなリンゴの魅力を、つまみ細工という形でお届けしています。

身近な自然とのやさしいつながりを感じていただけたらうれしいです。

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