新茶(一番茶)の季節はいつ?八十八夜と茶摘み時期について

新茶(一番茶)の季節はいつ?八十八夜と茶摘み時期について

春の訪れとともに摘まれる、新茶(一番茶)の季節をご存じですか?

「八十八夜」は、茶摘みの最盛期を迎える節目の日とされています。

この時期に摘まれる新茶は「一番茶」と呼ばれ、香り高く、栄養価にも優れた特別なお茶です。

私たち「こびとの農園」では、日本茶のもつ奥深い魅力に心を惹かれ、チャノキの花と「一芯二葉」をモチーフにしたブローチをつまみ細工で制作しました。

本記事では、「一番茶」「八十八夜」といった日本茶にまつわる用語の背景を知ることで、ブローチに込めた意味や季節の移ろいをより深く味わっていただけたらと思います。

目次

新茶・一番茶ってどんなお茶なの?味・香りともに最も優れたお茶

新茶・一番茶で淹れたお茶

「新茶」とは、その年の最初に摘まれた茶葉からつくられるお茶のことで、一般的には「一番茶」とほぼ同義です。

英語では”shincha”とそのまま表記されることもあり、”new tea leaves”や”spring tea”といった表現も用いられます。

一番茶は、茶樹が冬のあいだにじっくりと蓄えた栄養分を豊富に含むため、旨味成分であるアミノ酸(とくにテアニン)や、青葉アルコールに代表される香気成分が多く、味・香りともに最も優れたお茶とされています。

また、カフェインや渋味の原因となるカテキンの生成は日照時間の増加とともに生成が進むため、二番茶・三番茶に比べて春先の新茶はやさしくまろやかな風味に仕上がるのが特徴です。

新茶の水色は、透明感のある淡い黄緑色を呈し、その見た目にも清涼感や若々しさが感じられます。

八十八夜とは?一番茶を告げる、季節の節目

八十八夜の茶園の様子

「八十八夜(はちじゅうはちや)」とは、立春から数えて88日目にあたる日で、毎年おおむね5月1日〜3日頃に該当します。

この日付に幅があるのは、立春の日付が年によって異なるためです。

立春とは二十四節気のひとつであり、太陽黄経が315度になった瞬間を含む日を指し、その年の立春時刻によって2月3日・4日・5日のいずれかが立春日となります。

八十八夜の頃には気温が安定し、遅霜の心配もほとんどなくなるため、農業暦においては播種(はしゅ)や収穫の適期として古くから重要視されてきました。

この時期に降りる霜は、その年の最後の霜であることが多いため、「八十八夜の別れ霜(わかれじも)」という言葉でも知られています。

また、八十八という数字が「末広がり」で縁起が良いとされることから、「八十八夜に摘んだお茶を飲むと無病息災・長寿につながる」という言い伝えも生まれ、この日に摘まれた新茶は縁起物として贈答や祝いの品にも重宝されてきました。

なお、「八十八夜」は夏の季語に分類され、日本人の自然観や暮らしと深く結びついた言葉として息づいています。

新茶摘みの時期はいつ?摘採時期の地域差

全国の茶摘み時期一覧表

引用元:静岡茶通信直販センター「各地域別平均茶期」


日本列島は南北に長く、標高差も大きいため、一番茶の摘採時期には地域ごとに大きな差があります。

もっとも早く新茶の摘み取りが始まるのは、九州南部(鹿児島県など)で、例年4月上旬から中旬にかけて収穫が始まります。

続く静岡県や三重県などの主要産地では、4月下旬から5月中旬にかけてが主な収穫期となり、宇治茶で知られる京都府・宇治地方では、5月中旬以降にピークを迎えるのが一般的です。

さらに、標高の高い山間地や寒冷地では、収穫の時期がさらに遅れ、5月下旬から6月初旬にかかることもあるでしょう。

八十八夜に摘むようにいわれていますが、実際の現場では新芽が出てから30日前後を管理基準にして収穫されることもあります。

このように、地域ごとに摘採のタイミングが異なることで、新茶と呼ばれるお茶の暦日的な意味合いも変わってきます。

日照時間、昼夜の寒暖差、土壌の性質、霧の発生頻度などの環境要因が複雑に絡み合い、それぞれの土地ならではの香りや旨味が育まれているのです。

新茶・一番茶の摘み方は?一芯二葉

一芯二葉でのお茶摘み

お茶は、摘み取る部位の選び方によって、その香味や仕上がりに大きな違いが生じます。

新茶(一番茶)は栄養価や風味に優れ、高級茶の製造で用いられる「一芯二葉(いっしんによう)」という摘採法が代表的な摘み方です。

「一芯二葉」とは、新芽の先端部分(芯芽)と、そのすぐ下にある2枚の若葉だけを選び、丁寧に摘み取る方法です。

機械による摘採ではどうしても古葉や茎などが混入しやすいため、高品質な茶づくりをめざす農園では一芯二葉を見極めながら手摘みで収穫することも少なくありません。

手摘みの場合、以下のような方法が伝統的に用いられています

  • 折り摘み:親指と人差し指で新芽をひとつずつ挟み、柔らかい部分だけを折り取る方法
  • かき摘み:新芽を上方向に軽く引き上げるようにして摘み取る方法
  • こき摘み:親指と人差し指の間に芽の根元を挟み、しごくようにして上へ摘み取る方法

まとめ

一芯二葉のお茶

春の訪れとともに、茶畑にはやわらかな新芽が顔を出し、一年でもっとも香り高い茶葉が摘み取られます。

一芯二葉で茶摘みされる新茶は、短いこの季節にしか味わえない特別なひとときです。

「こびとの農園」では、このような普段は見過ごされがちな季節の美しさに魅せられ、チャノキの葉・花・一芯二葉をモチーフに、つまみ細工のブローチに仕立てました。

ふだん何気なく口にしているお茶とのやさしいつながりを感じていただけたらうれしいです。

こびとの農園 お茶のブローチ
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